私も4年前までは市中病院の一外科医として、17年間毎日消化器外科疾患の患者さんの治療に向き合ってきました。
しかし、キャリアを積んでいくとほぼ全ての外科医の目は悪性疾患の治療、特に手術に注がれていきます。
学会では技術認定等の資格制を設け益々技術、手技へ注目する流れとなっています。
技術力を上げることは、すなわち救える患者さんを増やすことにつながるのは事実です。
しかし、患者さんとのつながりは、術中所見だけではないはずです。
また、医学は日進月歩です。
手術でしか治癒しえなかった疾患が、投薬や他の治療法でも治療可能となってきました。
また手術も最先端技術を導入し、益々専門分化が進んできています。
施設基準を満たせない医療機関での治療法には、制限が加わってくるでしょう。
一方、悪性疾患の患者さん同様、良性疾患の患者さんも病に苦しんでいます。
良性疾患の患者さんの日常生活に寄り添い、良性疾患を専門とする外科医がもっと増えるべきだと考えます。
外科医の将来は、昔と今、そして未来と同じはずはありません。
外科医を取り巻く環境が急激に変わっている今、ご自身の将来設計をもう一度見つめなおす時期かもしれません。