【発表テーマ】ダイレーターを用いた直視下膨潤麻酔併用単孔式TEP法の工夫(2016.11.24-26)
当院では低侵襲化を目指し、膨潤麻酔併用SILS-TEP法を第一選択術式として採用しています。
満足度を左右する項目として、術後疼痛は大きなウエートを占めます。
膨潤麻酔を併用することにより、術後の疼痛を軽減し、安全な手術を実現しています。
※演題発表に関連し、開示すべき利益相反関係にある企業などはございません。
当院では、低侵襲性から早期の社会復帰が可能で、腹壁内のみの操作で脆弱部を含む腹壁を広く補強できる術式、そしてより低侵襲化を目指し、SILS-TEP法を第一選択術式として採用しています。
また満足度を左右する項目として、術後疼痛は大きなウエートを占めます。その対応として、膨潤麻酔を併用しています。
膨潤麻酔は、脂肪吸引の麻酔法として開発されました。
メリットとして
・膨化による剥離効果
・術中術後ともに効果的で持続性がある
・出血が少ない
・局麻剤の副作用が少ない
といった点が挙げられます。
膨潤液の内容です。生食180mlに1%キシロカイン10mlと7.5mgのアナペイン10mlを混和します。
膨潤麻酔薬の注入にはイントロデューサーシステムのダイレーター(クリエートメディック)を使用します。
膨潤液の注入部位と注入量です。
臍切開の際に臍周囲に20ml
腹直筋前鞘直下に3ml
腹直筋後鞘直下に2ml
腹膜外腔からレチウス腔に30ml
外側三角腹側に25ml
外側三角背側に50ml
腹膜前腔に50ml これは散布します。
最後に閉創後の臍周囲に20ml注入します。
TEP法では、注射針を経皮的に用いた膨潤液の注入は、針先を腹腔内から直接確認できない以上、腹腔内臓器損傷の可能性を完全に否定できません。
そこで当院ではダイレーターを用い、スコープで直接確認しながら注入します。
先端が鈍であるため慎重に操作することで血管、腹膜等を損傷することはありません。また、ラッププロテクターの内腔を利用した可動性と、ダイレーターに湾曲を付けて挿入することで単孔式であっても不自由なく狙ったポイントに注入できます。
SILS-TEPの利点を認識し、2本の鉗子を頭尾側、左右、腹背側にカウンタートラクションを意識し操作することが重要です。
膨潤麻酔を併用することで腹膜縁の視認性も上がり、腹膜損傷による気腹のリスクを減らせます。より安全で低侵襲な患者ニーズを満たす日帰り手術が可能となります。
参考動画
【注意】この動画は手術動画です。気分を害する可能性がある方は視聴をお控えください。